広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第10回 「国際会議の楽しみ方」
 
吉田 毅
 
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 少し前,フランスで開催された国際会議に参加してきました.学生さんに国際会議への投稿を勧めてもあまり興味がない(海外に興味がない,国際会議に行きたくない)ようだったので,今回は自分なりに国際会議の楽しみ方について考えてみます.私はいつも楽しく国際会議に参加していますが,その理由は主に3つの点にあると思っています.

1つ目は,自分が研究成果を発表する場合,他の国の同様な研究を行っている研究機関からの反応(質問やコメント)を直接確認できることです.批評や批判は自分の研究の糧です.

2つ目は,会議の全セッションを通じてアプリケーション、システム,回路技術がどの様な方向を目指しているのか動向を知ること,そして自分の研究の立ち位置を確認することです.もちろん関連研究の発表を聞いて新しい技術を勉強したり,さらに深い理解をするために質問をしたりすることも自分の知的欲求を満たす上で重要になります.特にブレークスルーを実現する技術を見聞きしたときには素直に感心したり,時には感動をおぼえます.

そして3つ目は,開催国の文化に触れることです.たいていの国際会議では各セクション委員の打合せがあるため夕方から何もイベントが組まれていない日があり,その時私はホテルではなく街に出て食事をするようにしています.大抵のホテルではホテル周辺のおすすめのレストラン(というか居酒屋)などを記載した地図を用意しており,フロントの人に聞いたり料理店のメニューを見ながら食事をするお店を決めることができます.いつもの研究室の飲み会の代金で十分美味しいものが食べられますし,その国あるいはその地方の特産品を使った料理を頂くことはとても楽しいことです.また街や人々の雰囲気を感じたり経験することは実際にその場に行ってみないとどうしようもありません.まぁ,ある時間,ある場所だけの観測でその国の文化に触れた気になるのは非常に危険ですが,テレビや本のステレオタイプな説明をそのまま信じるよりははるかにましでしょう.自分で経験することはとても重要です.なにより料理は食べてみないと分かりませんし...ちなみに今回の街歩きで得られた新たな知見は,フランスには中国人の観光客がとても多いこと(学会参加者はスーツを着ていて学会バックやプロシーディングを所持しているのですぐ区別できます),明らかに地元向けの居酒屋さんで普通に英語が通じること(フランス語のメニューしかなかったのでどんな料理か質問したら英語で詳細に説明してくれました,さすが観光都市),フランスの牡蠣もとても美味しいことでした.

後半は旅行の勧めみたいになってしまいましたが,国際会議への参加は楽しそうだと思いませんか?研究に取り組むモティベーションを維持するために,経験を積んだり新しい技術の勉強ができる国際会議の参加を考えてみては如何でしょうか.なお博士課程後期に進学すると国際会議に投稿する機会が増えますので,進学もあわせてお薦めしておきます(笑).


 
 

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