広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第15回 「カタカナについて」
  
マタウシュ, ハンス ユルゲン
 
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 日本人は一般的に外国の単語や表現のカタカナ変換を使用しています。これらの変換は外国語の発音を改ざんし、多くの場合、音節の省略をします。これは、日本人同士のコミュニケーションを容易にするために行われます。

 しかし、私はこの方法に疑問に思っています。例えば、私が日本に来た時、私の学生たちは、しばしば「バイト」の単語を使用していました。話の文脈から、ちょっとしたお金を稼ぐためのpart-time jobについて彼らは話しているということを推測しました。しかし、彼らがドイツ語の“Arbeit”(この単語はpart-time jobよりかなり一般的に使用されます)から変化したカタカナ言葉を使っているということに気づくまでに、私はかなり時間がかかりました。

 “Arbeit”ははじめ「アルバイト」というカタカナに変換され、更に発音の都合上省略され、「バイト」に変わっていたのです。これはドイツ人にとっては、全く理解しがたいことなのです。このような例は他にたくさんあります。英語の例で2,3見てみると以下のようなものがあります。

Department store => デパートメントストア => デパート

Family computer => ファミリーコンピューター => ファミコン

Air conditioner => エアコンディションナー => エアコン

 このようなカタカナ和製英語が一つの文章の中で複数存在すると、これは理解するのにかなりの推測を要します。例えば「デパートでバイトの金で、ファミコンとエアコンを買う」という文は、カタカナの省略が使われているということをあらかじめ知っていないと分かりにくい文です。

 そして更に私が驚いたことは、“Nanodevice”の単語が“ナノデバイス”というカタカナに変わり、“ナノデバ”という省略言葉を学生が使用していることです。外国人にとって、カタカナ和製英語が理解しがたいことはもちろん、日本人にとっても和製英語は好ましくないと思われます。それは英語とは異なる、間違った和製英語での発音を使用しているために、研究室の学生達が外国語を正しく発音することを難しいと感じているように思われます。

 日本人は和製英語ではなく、英語そのものの表現で外国語の単語を使用しないのはどうしてなのか不思議で仕方ありません。英語そのものの表現を使用することは、日本人の間でのコミュニケーションが多少面倒になるとしても、外国語を話し発音することがおそらくより容易になると思います。そのことは、特に外国人との言葉のやり取りを容易にし、日本人が国際社会に溶け込む手助けになるでしょう。 


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