広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第80回 「東広島 うまいもん」
 
天川 修平
准教授
極微細デバイス工学研究室


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  東広島市に越してきて数年が経った.広島大学がある東広島市西条の代表的特産品といえば日本酒だが,東広島市は広い.知名度はいまひとつでも,特筆すべきうまさがいろいろと潜んでいるようだ.

  まずは安芸津町の牡蠣.海辺にあるカキ小屋とやらに,前の冬に初めて食べに行った.実は,広島と言えば宮島,宮島と言えば牡蠣というわけで,私も宮島に行く機会があると牡蠣を食べていた.だけど露店の焼き牡蠣は値段は安いが牡蠣のグレードも値段なりで,味もそのまんまだ.というわけで,少々値は張るが,牡蠣専門店を名乗る店に入って牡蠣を食べてみたりしていた.ところが,最近はそうした店まで,競合店との争いのせいか,値段とともに牡蠣のグレードが落ちてきていて,がっかりしていた.それだけに,カキ小屋で出てきた宮島のを遥かに凌ぐ上物には感激だった(焼きも生も).これぞ,わざわざ広島にまで来て食べるにふさわしい牡蠣!しかも値段は安芸津価格.もう宮島に行ってもわざわざ牡蠣を食べる必要はないな,と思った.アクセスの悪さが泣き所で,全く観光客向きではないが….

  さて,新鮮な牡蠣は,土産物にできないのが難点と言えば難点だ.だが持ち運びもOKの隠れた名品がある.志和町で作っている醤油だ. 衝撃的な再会(出会いは店頭で特にどうということもなく)は,うちで刺身を食べたときだった.ん!この醤油うまい!!口の中にこんこんとわき上がってくる力強いうまみ.なんだこれは?原材料を見る限り,あっけないほど何も入っていないのだが….これこそが発酵食品醤油の神髄・底力なのか?そしてまた,この時初めて,普段は単に習慣で刺身を醤油に浸けているだけで,醤油そのものの味わいには何の期待してもいなかったことに気付かされたのだった.習慣化しているが故,そこに感動があってもいいと気付いていなかったという恐るべき事実….この一瓶数百円の小さな贅沢は,東広島に越してきて最大の発見だったかもしれない.

 

(2013/11/18)


 


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