キッカワ タカマロ 吉川 公麿 教授 Professor KIKKAWA, Takamaro |
先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 (RNBS) |
Home Page : http://www.rnbs.hiroshima-u.ac.jp/kikkawa/ |
ワイヤレスインターコネクション技術、アンテナ搭載集積回路技術、低誘電率・高誘電率電子材料技術の研究により、超高速・低消費電力信号伝送の限界性能を追求します。さらに、これらの技術をベースに生体内電磁波伝搬を明らかにすることによって、電波による早期乳癌検出技術の実用化に貢献します。
将来の超高速・超広帯域データ送受信から腫瘍検出までをめざした超広帯域インパルスCMOS送受信集積回路技術の研究を行っています。図1にはベクトルネットワークアナライザーを使ってアンテナ特性を測定している様子を示しています。図2のアンテナ搭載チップ写真に示すように、信号周波数がマイクロ波からミリ波まで高くなり、パルス幅がpsecオーダーまで短くなると、CMOS集積回路にアンテナを集積化することが可能になります。研究では新しい高性能アンテナのミニチュア化や設計試作評価、超広帯域インパルスCMOS回路の設計試作評価を行います。
乳癌の早期診断にはX線マンモグラフィが使われていますが、X線による人体への被曝と検診時に女性の胸部が強く圧迫されることによる苦痛という課題があります。これを解決するために、人体への被曝を無くすことができる電波によるレーダーの原理を用いた新しい腫瘍検出技術を研究しています。図3 に示すように電波によって乳癌が検出できる可能性を示しています。アンテナアレーの設計試作評価、ベクトルネットワークアナライザー・電磁波伝送工学の知識を駆使して癌検出技術の開発研究を行います。
集積回路の高性能化には回路設計だけではなく、集積回路のハードウェアを構成する電子材料の高性能化・高機能化も必要になります。本研究室は図4に示すような高速信号伝送に対応する低誘電率配線層間絶縁膜の研究や半導体メモリ用高誘電体材料の研究も行います。
研究室では物理学、化学、電気電子工学、機械工学の学生や研究者が一緒に議論しながら研究を行っています。 国籍も中国、バングラデシュ、ベトナムとバラエティに富んでおり、カリフォルニア大学やテキサス大学とも研究交流を行っています。
図1. ベクトルネットワークアナライザーによるアンテナ伝送特性の測定 | 図2. アンテナ搭載超広帯域インパルスCMOS送受信集積回路 | 図3. 電波による腫瘍検出の画像化実験 | 図4. 自己組織化による多孔質シリコン酸化膜の断面TEM写真 |