広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

  第159回 情報量
  

岩坂 正和(いわさか まさかず)
ナノデバイス・バイオ融合科学研究所


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 つい一昨日、北京で気が付いたことです。

 北京の大学で広大留学フェアという会に参加していた際、通訳の中国人学生さんと、日本語と中国語の情報量の話になりました。彼は太宰治の小説を高校生のころから研究している学生さんで、

「文字数あたりの情報量は、中国語よりも日本語のほうが多い」との意見です。

 私の理解では、過去に中国語で書かれた新聞を読んでいる方の速さを見て、文字数あたりの情報量は中国語のほうが多いでは?と思っていたので、聞き返してみると、

「文字数あたりで表現できるニュアンスが多い」、つまり含意が複数あるということのようです。

 少々短絡的に(理系人間的に)整理しますと、文字数あたりの自然科学的な情報量(*原則、定量化できる数値)と人文科学的な情報量(定量化できない質的なものを含む)は、言語によって異なる、と言えるのかな?と思いながら帰国しました。

 

 認知科学分野で“非言語コミュニケーション”の研究があります。ひょっとすると、言語進化の過程で、非言語コミュニケーションの要素の占める割合が、このニュアンス量に影響する、という仮説が、すでにあるのかもしれません。情報科学分野の方々の仕事ですね。

 人文科学分野の重要なテーマに関し、勝手な推察は憚れると思いつつも、

「東広島の田園で鳴き声コミュニケーションを繰り広げる、鳥や虫さんたちの歌声を、いつか本格的に研究対象にしてみてもいいな」と、一瞬思いました。(でも、今は、「魚」の仕事で忙しい、、、、)

 

岩坂正和(「魚でつくる光デバイス」研究チーム代表)

 

 

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