広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

 

第167回 帰宅困難者の一日半
  

三宅 正尭(みやけ まさたか)

HiSIM研究センター

 

 2018年7月6日金曜日。この日の夜19:35頃、雨音が突然異常に激しくなり、思わず雨雲レーダーのデータマップを確認しました(画像1)。
1時間先もずっと最大レベルの降水量が続く予想になっています(画像2)。
それから約5分後の19:40、職場にある全ての携帯端末から特別警報の警告音が一斉に鳴り響きました(画像3)。

 しかし、既にその時点で、バスは完全運休、タクシーでさえ一時的にサービス見合わせとなり、身動きが取れなくなっていました。
幸い、深夜まで待つとタクシーが動き出したので、皆帰宅でき、私は西条駅前のホテルでその日は何とかなりました。

画像1:思わず確認した雨雲マップ

画像2:1時間先の雨雲予想

画像3:雨音から約5分後の特別警報



 翌朝の土曜日、西条駅はやはり終日運転休止(画像4)。バスも運休。タクシーも足りていない状況のため、歩いて大学へ。
ブールバールをひたすら歩き、ようやく鏡山を登っていると、この土砂崩れ現場に遭遇しました(画像5)。
結局、この泥の川の向こう側へ行くことができず(画像6)、鏡山の西側を迂回する下見街道経由で大学へ辿り着きました。

 とりあえず大学には着いたものの、交通網は遮断され、未だに西条から抜け出すことは困難な状況でした。
この日はホテルも全て満室のため、職場に泊まるしかない状況でした。
明日は帰宅できるのだろうかと、職場で憂慮していたところ、幸いにも新幹線がいち早く復旧(画像7)。
超満員の新幹線で無事帰宅することができ、ホッとしました。

 ただ、こんなに苦労したのに、広島市内では何事も無かったかのように、いつも通り深夜まで交通機関が動いており、大きなギャップを感じずにはいられませんでした。

画像4:翌朝の西条駅

画像5:鏡山での小規模な土砂崩れ跡に遭遇

画像6:この先に大学があるのに渡れず迂回

画像7:東広島駅にて新幹線の早期復旧に安堵



 今回の豪雨で、広島大学では東広島キャンパスを支える光ファイバの断線の危機に見舞われたりもしましたが、
他の地域での被害は遥かに酷く、大規模かつ多数の土砂崩れが起こったり、県内でも河川の氾濫が起こった地域もあり、
停電、断水、浸水被害、家屋の損壊、交通網遮断の長期化、物資不足、人手不足等、非常に困難な状況となりました。
あちこちの山の無数の場所で土砂崩れが起こりましたが、上からの写真で見ると土砂崩れ跡の筋に過ぎませんが、
その現場で下から見上げると、何か巨大な力によって樹木もろとも斜面が延々と根こそぎえぐられたようになっており、非常に恐怖を覚えます。
土砂を片付け、麓に土嚢を積むことはできますが、えぐれた斜面はどうすることもできないと思います。

 なお、本災害について、広島大学に関わることは、 平成30年(2018年)7月豪雨に対する広島大学の取り組み にまとめられています。
その中でも、土砂崩れ等の詳細は 調査・研究 に、交通アクセスについては 本学への交通アクセス(東広島キャンパス) に、
それぞれまとめられていますので、詳しくはそちらをご確認ください。

 

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