広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第32回 「チャレンジすること」
 
外谷 昭洋

ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 吉川研究室
 
 >> 吉川研究室ホームページ
 この春、私は本学の「組織的な若手研究者海外派遣プログラム 理工農系:サステナブル社会の実現に貢献する自然科学系国際的若手研究者の育成プログラム」によりアメリカに留学する機会を得ました。とてもアメリカに行くとは考えていなかった若輩者の私が世界の最先端の舞台に行くことになったので、その中で感じたことについて述べようと思います。

 今回行かせていただいたのは、アメリカ・カリフォルニア州のカリフォルニア大学ロサンゼルス校でした。私は、この大学の中にある世界最先端の数100GHzレーダーシステムや60GHz 送受信回路を開発しているFrank Chang教授の研究室で3ヶ月間お世話になりました。この研究室では20人以下の少ない人数でしたが、バイタリティの高い学生と研究員全員で、ディジタル回路設計から高周波、超高周波の回路設計・システム構築に関わる複数のプロジェクトを遂行していました。
 私は今回の3カ月間の留学の間に、さまざまなことを感じることが出来ました。そのなかでも、「チャレンジすることの大切さ」に大きく気づかされた留学だったように思っています。私自身、英語が苦手という気持ちもありましたので、出発前には留学に対してチャレンジする気持ちで臨もうと考えていました。しかし、実際にアメリカでの生活を始めてみると予想以上に英語が通じず、留学当初は研究室での議論や食事のとき、また生活に関する雑務に至るまで、さまざまな場面で、本当に苦労しました。そのため、何度か挫折しそうになりましたが、そのたびに気持ちを切り替えて、それまで以上に自分から積極的に会話の中に入ったり、話しかけたりするといった「チャレンジする姿勢」を持つように心がけました。すると、徐々にではありましたがスキルアップが出来、会話についていけるようにもなりました。そして3ヶ月後には、学生と普通に議論をし、研究室の仲間と気兼ねなく食事をするくらいまでにコミュニケーションがとれるようになりました。今思えば、これら日々チャレンジすることの積み重ねや、その姿勢がなければ、コミュニケーション能力の向上だけでなく、研究の深みやアメリカの価値観・風土を知ることは出来なかったと思い、逆にチャレンジするという気持ちを持ち続けられたからこそ、たくさんの貴重な経験を得ることが出来たと思っています。
 今回の留学は、それまでの私にとっては考えられないことでしたので、行く前は自分が行ってもいいのかと躊躇する部分もありました。留学中も悩むこともたくさんありましたけれども、アメリカに渡るという大きなチャレンジをしたことによって、たくさんの経験や感動、さらには日本にいたままでは得ることが出来なかった価値観などを得ることが出来ました。本当に、チャレンジして良かったと心から思っています。

 話は変わりますが、つい先日、若いときにしか出来ないと思い自転車でしまなみ海道を走破してきました。その日は快晴だったため、アップダウンの多い70kmの道のりを熱い初夏の太陽のもと、走ることになりました。途中、タイヤがパンクするというアクシデントや10時間の旅程による疲労に悩まされることがありましたが、やった人にしか分からない、この上ない達成感を味わうことができました。やはりチャレンジすることはいいことです。皆さんも機会があれば、いろいろなことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 末筆ながら、諸先生方の半分ほどの人生しか過ごしていない私がこの場に書かせていただけたことに感謝いたします。合わせて、この文章が読んでくださった皆様の糧となれば幸いに思います。

参考URL
<派遣プロジェクト>組織的な若手研究者海外派遣プログラム
http://www.hiroshima-u.ac.jp/wakateyousei/kaigaihaken/rikono-kei/
<派遣先> UCLA High Speed Electronics Laboratory
http://www.ee.ucla.edu/~hsel/

(2011/7/31)

Frank Chang教授と私



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