広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第74回 「6年間の留学生活で感じたこと」
 
MILANTHA DE SILVA(ミランタ デ シルワ)
博士課程前期1年
ナノデバイス・バイオ融合科学研究所


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   私は2007年4月に留学生として来日しました。東京日本語教育センターで1年間の日本語の勉強を終え、2008年4月に京都府舞鶴市の舞鶴工業高等専門学校の3年生に編入しました。そして、2011年に広島大学工学部第2類電子システムに編入学し、現在、先端物質化学研究科の修士課程1年生に在籍しています。

   この6年間では、東京、広島のような大都会とほとんどの人が名前も知らない舞鶴のような都会から遠く離れた地方にも住んだことがあります。2008年から3年間舞鶴に住んでいました。この3年間では、私の人生の中で日本人と日本文化に最も深く触れた3年間でした。当初は日本語が全くと言うほど話せなかったのですが、それでも自分が身振り手振りで言いたいことを伝えるとそれを一生懸命理解しようと努力してくれた舞鶴の人達のことを今でも思い出します。何かの手続きに役場行ったとき、道に迷って交番を尋ねたとき、また何か商品を買いに店にいったとき、役場の方、警察官、そして店の店員さんにどれだけ助けられたでしょうか。一日仕事をして疲れていても、何故毎回笑顔で対応してくれるのでしょうかと何度も思いました。母国にいるときはあまり真剣に考えていませんでしたか趣味の大事さは後から分かりました。暇なときに自分なりに楽しめる、また年を取ったときでも生きる希望を与えてくれるので趣味は大事だと思いました。何か趣味をもつことで日ごろのストレスなどを解消でき再び仕事に熱心に取り組むことができるのも進歩した社会の一面だと思います。舞鶴でゲートボールをして楽しんでいるお年寄りの方を見て“幸せだな”って思ったことはなんどもありました。我々の国ではめったに目に出来ないこの雰囲気こそが豊かな日本を支えている基盤ではないかと思いました。

   そして、2011年から広島に住んでいます。舞鶴と大きく変わっても、夜中になっても人がたくさん道歩いたり、様々な活動を行ったりして、活発に生活をしています。しかし、みんなは忙しくてお互いに気配りする時間がないのは少し寂しく感じました。

   日本中どこに行っても、母国では考えられないほど日本人皆が他人のことを尊敬し合います。相手の仕事や地位など一切関係なく、頭を下げ、きちんと丁寧に挨拶を交わすことが私の国ではほとんど見られない光景です。心の安らぎを持たせる言葉使いで人々はお互いを尊敬し合うのです。それこそがこの社会に平和をもたらした一番の理由ではないかと思います。母国は20年に渡った民族紛争を経験し、毎日「テロ」という言葉を耳にしながら育った私にとって、平和とは言葉で表せない程貴重なもので、日本の平和で豊かな生活をうらやましく思いました。

   私は約6年間日本の色々なところを見てきて、我々の学ぶべきところは数多くあると認識しています。あまり外国人との触れ合いがなく、彼らと話すのにも抵抗がある人達もたくさんいます。しかし、こちらから積極的に接して行くとお互いに学ぶべきもの、あるいは尊敬できるものがたくさんあると経験的にも分かっています。すべては“こんにちは”で始まります。

 

(2013/7/27)


 


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